人と防災未来センターでは、設立以来10年にわたり、国内外の災害・防災の資料収集や展示に取り組んでいる施設・団体とのネットワークづくりを通し、災害の資料展示のあり方を探ってきました。

 昨年度開催の災害ミュージアム研究塾2012では、日本全国から災害の展示や資料の取り組みに携わっている講師をお招きし、各事例を通して災害の記憶の伝え方について議論しましたが、参加者の皆様から、実際に被災地に行って語り継ぎの最前線を学びたい、メディア(手記、ミュージアム、災害遺構等の媒体)を通した記憶の伝え方について学びたいという声が多く寄せられました。

 そこで、被災地での語り継ぎを現場に訪れて学ぶ「災害かたりつぎ研究塾※」を開催するとともに、加えて、災害の記録を伝えるメディアをテーマとした7回シリーズの公開セミナー「災害ミュージアム研究塾2013」を企画しました。リアス・アーク美術館の学芸員による東日本大震災の展示に関する報告の他、センターの研究員・震災資料専門員が取り組んでいる研究内容を報告し、メディアの役割やそれを通じた伝え方について学んでいきたいと思います。

 災害資料の展示・活用の最前線を学ぶ貴重な機会です。興味のある方はぜひご参加ください。

※「災害かたりつぎ研究塾」の詳細はURLを参照ください。
https://sites.google.com/site/saigaikk2013/

【イベント情報】

(タイトルをクリックすると詳細が見れます)

第1回:2013年9月14日(土)14:00〜16:30
災害ミュージアムができるまで

【タイトル】

災害ミュージアムができるまで

+人と防災未来センターこだわり展示ツアー

【講師】

人と防災未来センター研究部長  村田昌彦

人と防災未来センター主任研究員  阪本真由美

【日時】

2013年9月14日(土)14:00〜16:30

【概要】

 災害ミュージアムは、災害という出来事の記憶をとどめるモノを保存・収集し、それを展示として再構築することにより災害を伝えます。しかしながら、災害の記憶には、つらい記憶、悲しい記憶、忘れてしまいたい記憶もあり、必ずしもとどめておきたい記憶とは限りません。つらい記憶をとどめるべきなのか、災害という出来事を再構築する必要があるのか、災害ミュージアムの設置をめぐっては常に葛藤がみられます。ここでは、災害ミュージアムができるまでの経緯と葛藤を人と防災未来センターを中心に、世界各国の災害ミュージアムの事例を通してたどります。

 また、人と防災未来センター設置に際しての想いと、センターこだわりの展示を展示ガイドツアーを通してご紹介します。

第2回:2013年10月5日(土)14:00〜16:00
「共有するための展示」

【タイトル】

「共有するための展示」

〜リアス・アーク美術館常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」での試み〜

【講師】

リアス・アーク美術館 学芸員/学芸係長 山内宏泰

【日時】

2013年10月5日(土)14:00〜16:00

【概要】

 災リアス・アーク美術館(宮城県気仙沼市)の常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」の目的は、時空間を越えて震災という出来事を共有し続けることです。共有するべきは《哀話・悲話》ではなく、《多くの課題・問題》です。

津波は単なる自然現象でしかありません。これが大災害となった原因は、これまで築き上げてきた地域の歴史、文化、社会の中に蓄積されてきたものです。戦後、特に1960年以降蓄積された災害の原因は、日本中の至るところで機が熟すのを待っています。その事実を知ってしまったために、展示を通して世に伝えようとしています。

 地域住民一人一人が課題を共有し、日々考え続ける場所を提供するために、《課題を投げかけ続ける展示》を追求し、平成25年4月3日、これを公開するに至りました。

 単に見る展示ではなく、観覧者自身が自らの日常を振り返り、考えるための場所作り。そのために通常は用いられることのない手法を用いた資料展示を行っています。その具体的な展示手法について、同展示の企画編集者である山内宏泰が紹介します。

第3回:2013年11月16日(土)14:00〜16:00
防災集団移転と住民生活

【タイトル】

防災集団移転と住民生活

【講師】

人と防災未来センター研究員 渡邉敬逸

【日時】

2013年11月16日(土)14:00〜16:00

【概要】

 新潟県中越地震では,被災住民の生活再建手法として、防災集団移転促進事業(防集事業)が実施されました。ただ、その多くは「集団移転」ではなく、集落に残ることを選び、そこで今も生活を営む住民が大勢います。防集事業に関する多くの研究では、住民の移転先での生活適応や移転評価が検討されていますが、集落に残ることを選択した住民の状況はほとんど検討されていません。東日本大震災の被災地でも多くの集落が防集事業を活用した集団移転を検討していますが、中越地震同様の状況が起こることが予想されます。

 新潟県中越地震のとある集落を事例に、防集事業のプロセスとその後の住民生活の状況から、集団移転後の生活課題を明らかにし、災害の教訓として皆様と共有したいと思います。

第4回:2013年12月8日(日)14:00〜16:00
災害の記憶の忘却を防ぐことはできるのか

【タイトル】

災害の記憶の忘却を防ぐことはできるのか

―3つの災害のかたりつぎからみえること―

※「災害かたりつぎ研究塾冬合宿in神戸」との共催イベントです

【講師】

京都大学防災研究所教授 矢守克也

東北大学災害科学国際研究所 助教 佐藤翔輔

長岡震災アーカイブセンター「きおくみらい」 研究員 山崎麻里子

人と防災未来センター 主任研究員 阪本真由美

【日時】

2013年12月8日(日)14:00〜16:00

※会場は地域人材支援センターです。

【概要】

 阪神・淡路大震災から18年、新潟県中越地震災害から9年、東日本大震災から3年が経過しました。時の経過とともに、変わりゆく語りつぎのあり方。かたりつぐことにより果たして災害の記憶の忘却は防ぐことができるのでしょうか。阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災の各地の語り継ぎ活動からみえたことをふまえ、今後、災害をどのように語りついでいくのかを考えます。

第5回:2014年1月25日(土)14:00〜16:00
手記集から読み解く「災害体験」

【タイトル】

手記集から読み解く「災害体験」

―「伝承する」コミュニティの形成と連帯―

【講師】

人と防災未来センター震災資料専門員 高森順子

【日時】

2014年1月25日(土)14:00〜16:00

【概要】

 災害のみならず、戦争をはじめとした様々な災禍が起こるたびに生まれる「手記」。そのなかでも、手記をひとまとまりにした「手記集」について、災害伝承の方法としての特徴を、発表者が事務局長を務める「阪神大震災を記録しつづける会」の活動を通じて紹介します。1995年から10年10巻に亘り編纂された手記集に収められた、執筆者それぞれに唯一無二の「災害体験」の具体例を紹介し、手記集を介した災害伝承活動の広がりについてお伝えします。

第6回:2014年2月8日(土)14:00〜16:00
災害の記録と伝承

【タイトル】

災害の記録と伝承

〜写真、まち歩き、そして、語り〜

【講師】

人と防災未来センター研究主幹 宇田川真之

【日時】

2014年2月8日(土)14:00〜16:00

【概要】

 地域の過去の自然災害の被災状況や、その後の復興過程を知るために、自治会や学校、あるいは、遠方からの修学旅行生などを案内する、防災まち歩き活動が各地で行われています。しかし、神戸では、阪神・淡路大震災から20年近くも経過したことから、震災時の状況や、その後の復興の経緯が、目にはあらわには見えにくくなっています。

 そこで、震災時の街のすがたや、その後の再建の様子を、現地で、誰でも、わかりやすく知ることができるように、タブレット・スマートフォンのアプリケーションを作成しました。こうしたアプリケーションを使うなどして、まち歩きによって過去の災害の伝承などに取り組んでいる、地震、水害、そして、津波の被災地の人々の活動の様子を紹介します。災害の記録と伝承における、映像、まち歩き、そして語りの役割について、話し合えればと思います。

第7回:2014年3月15日(土)14:00〜16:00
災害遺構を保存・活用する意味

【タイトル】

災害遺構を保存・活用する意味

−「場」をつくるために−

【講師】

人と防災未来センター震災資料専門員 石原凌河

【日時】

2014年3月15日(土)14:00〜16:00

【概要】

 東日本大震災以降、災害の記憶を伝えるメディアとして、災害遺構が注目を集めています。しかしながら、保存により地域へ与える影響が大きいがことや、保存のための制度的枠組みが存在しないため、東日本大震災の被災地では、保存に至らなかったり、合意形成の過程で住民間の対立を招く事例が見受けられます。そこで、日本における災害遺構の保存・活用事例や課題を紹介しながら、記憶継承にも地域にもメリットをもたらす保存・活用のあり方を参加者の皆さんと共に考えていきます。

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第1回(終了しました)  2013年9月14日(土)に参加します
第2回(終了しました)  2013年10月5日(土)に参加します
第3回(終了しました)  2013年11月16日(土)に参加します
第4回(終了しました)  2013年12月8日(日)に参加します
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第6回(終了しました)  2014年2月8日(土)に参加します
第7回(終了しました)  2014年3月15日(土)に参加します

主催

公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 人と防災未来センター 
研究部・資料室

協力

神戸市立地域人材支援センター

お問い合せ

公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 人と防災未来センター 
資料室 担当:石原・高森

Tel:078-262-5058 Fax:078-262-5062

〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2 人と防災未来センター資料室